モザイク処理の見積もりを作るときは、動画の長さに加えて、納めるファイル、確認する範囲、修正の扱い、着手前に決める条件をそろえます。同じ尺でも、一本の完成動画を納める仕事と、複数の用途別動画を作る仕事では必要な作業が変わります。
この記事は、モザイク処理を受ける編集者や小規模制作担当が、見積もりの前提を整理するためのガイドです。市場相場や標準単価を示すものではありません。mosAIの利用料は公式の料金案内で別に確認し、自分の作業費と混同しないようにします。
最初に「何を納めれば完了か」を聞く
金額を考える前に、成果物を具体化します。「30分の動画を処理してほしい」だけでは、本編のみなのか、予告編も必要なのか、別の画面比率も含むのかが分かりません。
聞いておきたいのは次の項目です。
- 入力素材:本数、尺、形式、編集内容が確定しているか
- 出力成果物:本編・予告編などの本数と用途
- 処理範囲:映像で扱う対象、音声作業を含むか
- 仕上がり条件:依頼者が求める隠し方と確認方法
- 納品条件:形式、受け渡し先、期限、最終確認をする人
不明な項目は推測で埋めず、見積もりの前提として残します。たとえば「予告編は本編とは別に必要ですか」「本編のカット変更はまだありますか」と、一つずつ答えられる質問にすると確認が進みます。
素材の利用権限や必要な同意、利用するサービスの条件も着手前に確認します。AIツールを使えることだけで、すべての依頼素材を処理してよいことにはなりません。
動画尺と人の作業時間を分けて書く
素材が30分だから人の作業も30分、とは限りません。見積もりの内部メモでは、動画尺と作業時間を別の欄にします。
| 作業項目 | 見積もり前に確かめること |
|---|---|
| 素材の受領・条件確認 | 本数、形式、版、依頼内容の不足 |
| AI解析の準備と処理 | 利用条件、解析対象、サービス利用量 |
| 解析結果の確認 | 全編を誰が見て、問題をどう記録するか |
| 手動修正 | 見つかった箇所を修正し、前後を確認する作業 |
| 書き出し・出力確認 | 何本出力し、どの環境で最終確認するか |
| 依頼者の確認への対応 | 指摘の取りまとめと再出力の扱い |
機械の処理待ち時間と、担当者が実際に確認・修正する時間も分けます。同時に別作業ができる時間まで、無条件にすべて人の作業時間へ足す必要はありません。一方、確認と出力後の全編チェックを省いて積算すると、受注後に必要な作業が残ります。
未経験の素材条件は「未確認」として扱う
普段と違う動き、場面数、画面構成の素材では、過去の一本の結果をそのまま当てはめないようにします。AI処理の速さや修正量を、根拠のない固定値で約束しないことが重要です。
条件を確認するための試行が必要なら、その目的と範囲を依頼者と合意してから進めます。試す場合も、利用権限を確認した素材を使います。初回の試行にかかるサービス利用料と、実際の受託作業の費用は別に整理してください。
見積もりメモは「確認できた条件」「仮に置いた条件」「依頼者の回答待ち」の三つに分けると便利です。これはmosAIの機能ではなく、手元の表や文書で行う運用例です。未確認事項を隠して一つの確定値に見せるより、何が決まれば金額や日程を確定できるかを示します。
修正回数だけでなく「一回の単位」を決める
「修正一回込み」と書くだけでは、何を一回と数えるかが曖昧です。複数の人から別々に届く指摘をまとめるのか、別日の追加指摘も含むのか、事前に確認します。
例えば、次のように聞けます。
- 確認担当者の指摘は、代表者が一つの一覧にまとめますか
- 指摘を受け付ける締め切りはいつですか
- 指定した隠し方に対する不足の修正と、後からの仕上がり変更をどう扱いますか
- 元動画の差し替えや本編のカット変更があった場合は、作業範囲を確認し直せますか
これは条件整理の質問例であり、一方的に追加料金を課すことを勧めるものではありません。変更が起きたら、増える作業と影響を説明し、双方で扱いを確認します。法律上の責任や契約条項の判断は、本記事の範囲には含めません。
見積もり前提シートの記入例
以下は説明用の架空例です。実際の案件実績や標準条件ではありません。
- 入力:カット確定済みの本編一本。尺と形式は受領時に確認
- 成果物:本編の処理済み動画一本。予告編と縦型版は含めない前提
- 作業:解析結果の全編確認、必要な修正、書き出し、最終ファイルの全編確認
- 確認担当:制作者が出力を確認し、依頼者の代表者が内容を確認
- 修正受付:代表者が時刻付きの一覧にまとめる。回数と締め切りは回答待ち
- 変更時:原本の差し替え、尺の変更、成果物追加があれば作業量を再確認
- 未決事項:納品形式、納品期限、音声作業の有無
この状態では、未決事項が残るため確定見積もりとは扱いません。回答をもらって更新することで、「何が含まれるか」を双方が同じ内容で把握できます。金額を記入する場合は、自分の作業単価、利用料、必要な他の費用を自分の条件で積み上げます。
mosAIの利用料と受託作業費を分ける
mosAIはAI解析後の結果を確認し、必要な箇所を修正して書き出す流れで使えます。受託側が検討する理由は、解析から修正・出力までを実際の作業工程に組み込めるか確かめられることです。AIを使うことだけを理由に、確認工数をゼロと見積もることはできません。
利用料は公式案内と解析前のアカウント表示で確かめ、人の確認・修正・受け渡し作業の費用と分けて管理します。本文では、特定の利用料金、利益率、値引き率、外注相場を前提にしていません。
新しい条件の依頼を受ける前に、mosAIのサービス説明を確認し、登録・ログイン後、権利確認済みの動画一本で初回解析から修正・出力確認までを試すと、自分の積算に必要な作業を洗い出せます。試行結果を、そのまますべての案件の所要時間や精度の保証には使わないでください。
最後に、見積もりから落ちやすい三点を見る
提出前に、成果物の本数、全編確認の担当、変更時の相談方法をもう一度確認します。動画尺だけのメモから、実際に終えられる作業範囲へ変えることが本記事の目的です。
本記事は2026年10月11日時点の製品実装を確認したうえで作成した、受託業務の運用提案です。mosAIに見積書作成、承認フロー、複数担当者の共同編集機能があるという案内ではありません。AI解析の結果は人が確認・修正し、保存した最終ファイルの全編も確認してから納品判断を行ってください。



